坂口安吾『不連続殺人事件』
10分。
・大家(たいか)
1.大きな家、また、金持ちの家
2.家柄の立派な家
3.ある方面で、特にすぐれた知識や技術をもったひと「画壇の--」
・算式(さんしき)
加減乗除などの記号を用いて、計算の順序や方法を表した式
・錯雑(さくざつ)
いろいろなことがらが複雑に入りまじっていること、こみいっていること
・卓説(たくせつ)
すぐれた意見・説「名論--」 卓論、名論、高説
・猥本(わいほん)
性に関する内容を興味本位に書き著した本、エロ本、淫本、春本、猥書
・耽読(たんどく)
夢中で読みふけること
・虎狼(ころう)
1.トラとオオカミ
2.貪欲で残忍なこと(人)
・大名旅行(だいみょうりょこう)
非常に贅沢な旅行
俗に、官費を使って行う観光旅行を揶揄しても言う
・落籍(ひか)
芸者や遊女などを身請けすること
落籍(ひか)す
・出てゆけがし
いかにも出て行けというようにあてこすって冷たくあしらうさま
・渋い顔
不愉快そうな様子である「文句を言われて--をする」
・零落(れいらく)
(「零」は草が枯れる意、「落」は木が枯れる意)おちぶれること「--の一途をたどる」
[類]落魄
[対]栄達
・御光来(ごこうらい)/光来(こうらい)
他人の来訪を尊敬していう語、光臨「御--を仰ぐ」
・淑徳厚い(しゅくとく)
上品で貞淑な女性の美徳
・御心臓(ごしんぞう)
・下男(げなん)
やとわれて雑用をする男、下僕 [対]下女
人物相関図4
私
文士
歌川一馬
上京のたびにツボ平に泊まる
文士、主知派の異彩、中堅詩人
胡蝶を狙っている?
四十歳
坪田平吉
ツボ平(小料理屋)の主人
以前は歌川家の料理人
テルヨ
平吉の内儀で女中
歌川多門
一馬の父親、好色漢
テルヨにも手を付けていた
代わりにテルヨが平吉と結婚した折に小料理屋の資金を与える
酒造家
望月王仁
粗暴、傲慢無礼、鼻持ちならない
珠緒と関係があった
天下の流行作家
丹後弓彦
丁重で取り澄ましているけれど、傲慢
内海明
気持ちはすっきりしているけどセムシ
珠緒
一馬の妹
相手はわからないがこの夏堕胎している
三宅木兵衛(木ベエ)
秋子と一緒にいる
人見小六
劇作家、明石胡蝶の夫、煮えきらなくて小心臆病
宇津木秋子
女流作家、三宅木兵衛と一緒にいるが、元は一馬の奥さん
多情な女、疎開中は王仁とも交渉が深かった
王仁を諦めるが、内心は王仁に参っている
明石胡蝶
人見小六の奥さん、女優、理知派の弱々しい男が好き
一馬のことが好き
あやか
一馬の今の奥さん
女学生のころは詩を作っていた
お金に惚れて一馬と結婚
土居光一
画家、あやかと同棲していた
京子
私の女房、歌川多門の妾だった
梶子夫人
多門の妻、亡くなっている
下枝
十九歳、歌川多門の小間使いで、妾
海老塚
ビッコの医者
梶子夫人が自分の心臓ゼンソクを傍で看させるために資金援助して呼び寄せた
諸井琴路
看護婦、歌川多門と関係があった
梶子を毒殺したと噂されている
南雲一松
中風で寝ついている老人
お由良婆
南雲一松の妻女、歌川多門の実の妹、梶子さんと折り合いが悪かった
生来の虚弱からヒステリー気味
千草
お由良婆の末娘、不美人
珠緒と犬猿
加代子
もうひとりの病人、肺病、美しい、たいがい読書をしている
実は多門の落としダネ、召使の部屋にいるが女中の手伝いはしていない
喜作爺さん
加代子の祖父
お伝婆さん
加代子の祖母
巨勢博士
探偵
神山東洋
弁護士、多門の秘書だった
小曽乃
神山東洋の妻、新橋で落籍された多門の妾だった